告知したのに初日0件。そこから翌日初売が出て、1週間で本が大きく変わった。Zenn Bookを公開した最初の7日間、何が起きたかを数字つきで全部書く。売上1部・書籍PV169、そして5月2日の大規模改訂——うまくいったことも、想定外だったことも含めて。
4月27日(月)の夜、Zenn Bookを公開した。
タイトルは「コードを書けない私がAIエージェントを9体つなげて電子書籍を2日で作った話」。X、Facebook、Threadsの3媒体で告知した。
初日の売上は0件だった。
これを「失敗」と解釈するか「想定内」と解釈するかは、ローンチ前にどんな設計をしていたかによる。正直に言えば、私は少し凹んだ。でも振り返ると、初日0件は構造的に当たり前だったと分かる。
この記事では、公開から1週間(4月27日〜5月3日)に何が起きたかを数字つきで記録する。うまくいったことだけでなく、想定外だったことや、まだ分からないことも含めて書く。
1週間のタイムライン
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 4/27(月) | Zenn Book公開。SNS3媒体で告知。初日売上 0件 |
| 4/27 | 舞台裏記事「9体のAIエージェントと電子書籍を2日で作った話」を前倒し公開 |
| 4/28(火) | 初売(1部)。累計1部 |
| 4/28 | Zennダッシュボードで初売を確認、スクリーンショットを撮る |
| 4/29(水) | 「Zenn Bookを出した初日に何が起きたか——0件から学んだ3段ファネル設計」公開 |
| 4/30(木) | はてなブログ公開・Qiitaクロスポスト(上記記事) |
| 5/1(金) | X導線試行プラン開始(URLリプライ分離・独白型後付けリンク) |
| 5/2(土) | 大規模改訂(1日): 無料部分の全面改稿・「SE歴26年」表現削除・第1部を4章→6章に再編・part03非エンジニア向け表現強化(10件修正)・付録強化・全章参照ナビ追加 |
| 5/3(日) | 大規模改訂の後処理: config.yamlから「SE歴26年」削除(レビュー指摘対応) |
数字の全記録
| 指標 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| 累計売上(部数) | 1部 | Zennダッシュボード(4/27〜5/3) |
| Zenn Book PV(1週間) | 169 | Zennダッシュボード(4/27〜5/3) |
| 舞台裏記事PV | 18 | GA4(4/27〜5/3) |
| 舞台裏記事 流入元 | Facebook系 73% | GA4実測 |
| 舞台裏記事 平均滞在時間 | 294秒(約5分) | GA4実測 |
| 初日記事PV | 23 | GA4(4/29〜5/3) |
| 初日記事 平均滞在時間 | 597秒(約10分) | GA4実測 |
| Qiita告知記事PV | 9 PV / 10ユーザー | GA4(4/27当日) |
書籍自体のPV169に対して、売上1部。購買転換率はおよそ0.6%になる。これが高いのか低いのかは判断できないが、事実として記録しておく。
流入元で特徴的なのは、舞台裏記事への訪問がFacebook系(Facebookとのメタ系SNS)から73%来ていた点だ。これはGA4の実測値で、Xからの流入がほぼなかったことを意味する。Xに力を入れていた分、この数字は想定外だった。
学び1: 初日0件は「失敗」ではなかった、と後から気づいた
初日の告知は「本があります」という形だった。SNSで書籍URLを共有する、いわゆるオーソドックスな告知だ。
でも振り返ると、SNS告知だけで購買に至るのはかなり難しい。理由は単純で、告知ツイートを見ただけでは「この本が自分に必要かどうか」が判断できないからだ。
初売(1部)が出たのは翌4月28日。その前日に、書籍と同時に「舞台裏記事」を公開していた。「9体のAIエージェントと電子書籍を2日で作った話」という、制作プロセスを記録した記事だ。
その日、Zennのダッシュボードを開いたら、収益の欄に数字が入っていた。前の日は0円だったはずのところに、数字がある。一瞬、何が起こったのか分からなかった。数秒してから「あ、Zenn Bookが売れた」と気づいた。その瞬間、かなり興奮した。
しかも、知人や友人ではなかった。購入者の属性を確認できるわけではないが、SNSで知っている人たちへの告知で反応がほぼなかった中での購入だ。おそらく、知らない人が内容だけを見て買ってくれたのだと思う。
「内容だけで買ってもらえた」というのは、告知ではなく本そのものが評価されたということだ。それがとにかく嬉しかった。すぐにスクリーンショットを撮った。
舞台裏記事を読んだ人が翌日購入した、という直接の因果関係は確認できない。ただ、タイミングと流入元データを合わせると、「本の存在を知る」より「どうやって作ったかを知る」の方が購買動機に近い可能性がある、と解釈している(推測)。
これを「3段ファネル」と呼んでいる。SNS告知 → 橋渡し記事(制作プロセス・舞台裏)→ 書籍本体、という導線だ。詳しくはこの記事に書いた。
もし今「告知したのに反応がない」と感じているなら、それは告知の問題というより、書籍と読者の間に橋渡しが足りていない可能性がある。
学び2: 本は出してからも育てられる(5月2日の大規模改訂)
Zenn Bookは公開後も更新できる。これをローンチ前には理解していたが、実際にどれだけ動くかは分かっていなかった。
5月2日、1日で以下をまとめて改訂した。
無料公開部分(序文・第1部)の大幅改稿: 本文中に「SE歴26年」という表現が複数箇所あった。読者ペルソナのレビューで、「これはSE特有の話では?」という疑念が生じやすいと指摘された。非エンジニアにも読んでほしい本なのに、書き出しでそう感じさせてしまうのは問題だ。表現を全て削除または言い換えた。
第1部の章構成を4章→6章に再編: readerレビュー(想定読者ペルソナによるレビュー)で「第1部の各章が似た構造に見える」という指摘があった。「評価する力」「判断を任せられない理由」という概念が埋没していたので、独立した章として切り出した。
第3部(part03)の非エンジニア向け表現強化: 技術的な記述が残っていた箇所を10件修正し、付録と全章参照ナビを追加した。
翌5月3日には、改訂レビューの指摘を受けてconfig.yamlからも「SE歴26年」の記述を削除した。書籍の設定ファイルにまで表現が残っていたことに気づいたのは、この段階だった。
このスピードで改訂できた理由は、AIエージェントのレビュー体制があったからだ。reader(想定読者ペルソナ)・reviewer(ファクトチェック)の2種類のレビューを各章ごとに回し、指摘をすぐ修正に落とせた。一人でやっていたら、少なくとも3倍以上の時間がかかっていたと思う(体感)。
有料コンテンツを出す予定がある人に伝えておくと、「公開=完成」ではなく「公開=改訂できる状態になった」と捉えた方がいい。出してからのフィードバックで、本は確実によくなる。
学び3: X告知の出し方を変えた
5月1日から、Xへの告知方法を変えた。
それまでは「書籍URL付きのツイートをそのまま投稿」していた。これはいわゆる「宣伝投稿」で、エンゲージメントが取りにくい形式だ。
新しい方法は2段階に分けた。まずURLなしで「こういうことを考えている」という独白型のツイートを投稿し、数時間後にリプライ形式で「詳しくはこちら」とURLを付ける。XのアルゴリズムはURLを含む投稿のリーチを下げる傾向があると言われているため(出典: 一般的な知見として、実証はできていない)、URL分離が有効である可能性を試している。
この戦略の効果は現時点では不明だ。GA4でt.coセッション数を計測しているが、統計的に意味のあるデータが出るには最低2〜3週間かかると見ている。5月15日以降に判断する予定だ。
Xで告知している人なら試してみる価値はある。URLを後付けにするだけなので、今日から変えられる。
現時点の正直な評価
1週間で売上1部、PV169。
「少ない」と言えば少ない。ただ、どのくらい少ないのかは比較対象がないので断言できない。Zenn Bookのコールドスタートとしてこの数字が典型的なのか例外的なのか、私には分からない。
「本が売れる」ためには、信頼を積み上げる時間が必要だと思っている。これは意見だ。
舞台裏記事の平均滞在時間が294秒(約5分)、初日記事が597秒(約10分)というのは、読んだ人は読んでいる、ということを示している。ただ、読んでから書籍に飛んだ人がどれだけいるか、GA4だけでは追えていない部分もある。
改善できることはまだある。無料部分(序文・第1部)の更新が完了したので、まずここを読んでもらう導線を作ることが次のアクションだ。
まとめ
- 初日0件は、ファネル設計の問題だった(と後から解釈している)
- 舞台裏記事が橋渡しになった可能性がある(直接の因果は確認できていない)
- 出した後も大規模改訂できた。これはZennの仕様とAIレビュー体制のおかげだ
- X告知の方法を変えたが、効果はまだ不明
- 流入のFacebook系73%は予想外だった
有料コンテンツを出そうとしている人に、「初日の数字で判断しなくていい」とだけ伝えておきたい。少なくとも私の場合、初日0件だったが、翌日初売が出た。そして1週間後も本は大きく改訂されて少しよくなっている。
5月2日の大規模改訂で書き直した無料部分(序文・第1部)が今すぐ読めます。改訂後の版がどう変わったか、確かめてもらえると嬉しい。
コードを書けない私が、AIに「チーム」を持たせるまで(Zenn Book)
参考: 関連記事・使用ツール
この記事を書く過程で使ったツール、および参考にした書籍を紹介します。
Claude Codeを使ってAIエージェント連携に興味が出た方には、以下の書籍が参考になります(Amazon)。
この記事のテーマを深掘りした本
コードを書けない私がClaude Codeで「AIチーム」と書き続けるまで ネタの自動収集から公開まで、書き続ける仕組みの育て方(序章無料)
シリーズ全6冊: Vol.1 作るまで / Vol.2 回すまで / Vol.3 書き続けるまで / Vol.4 仕組みを渡すまで / Vol.5 仕事を任せるまで / Vol.6 1人エージェントチーム