- 2ヶ月で書いたZenn Book 3冊
- 転換点:「自分で書く」から「指示する側になる」まで
- 組織として動く感覚
- 予期しなかったこと:事故がシステムを鍛えた
- Claude Codeを使い始めた人への次の一歩
- この春を経て
- この春書いた Zenn Book 3冊
- 関連記事
- この記事のテーマを深掘りした本
4月初旬、私はClaude Codeを「AIが書いてくれる便利ツール」として使い始めた。AIエージェントに触れるのはそれが初めてだった。2ヶ月後の今、私はClaude Codeを「エージェント編集部を動かす指示役」として使っている。
転換点は、CLAUDE.mdにwriter/reviewer/readerという数行を書いた瞬間だった。それだけで、Claude Codeとの関係性が根本から変わった。この2ヶ月でプロジェクトのコミット数は2,185件に達し、記事ファイルは132本(アーカイブ7本含む。うちはてな公開済み100本、Zenn投稿済み41本)になった。
本記事は、Zenn Fesの「この春始めたこと」テーマへの応募です。
この記事の実施記録(2026年4月〜6月): Claude Codeを4月初旬から使い始め、約2ヶ月でZenn Book 3冊を書いた。転換点はCLAUDE.mdにwriter/reviewer/readerという役割を書いた数行だった。プロジェクト開始からのコミット数は2,185件、記事ファイル数は132本(アーカイブ7本含む。うちはてな公開済み100本、Zenn投稿済み41本)。
2ヶ月で書いたZenn Book 3冊
この2ヶ月でZenn Bookを3冊書いた。
Vol.1「コードを書けない私がClaude Codeで『AIチーム』を作るまで」 コードを書かない私がClaude Codeで9体のAIエージェントチームを作り上げるまでの実録。最初の10日で原型ができ、その体験を書いた。
Vol.2「コードを書けない私がClaude Codeで『AIチーム』を回すまで」 チームを「作る」ことと「回す」ことは別の技術だと気づいた記録。Playbook・委任プロトコル・品質ゲートの三層構造を扱っている。
Vol.3「コードを書けない私がClaude Codeで『AIチーム』と書き続けるまで」 チームが動くようになった後の「では、何を書き続けるか」という問いへの記録。アンテナモデルへの転換、ネタ帳設計、4段ループ(仕込む→書く→届ける→回収する)を扱っている。
3冊で扱ったテーマは、実際にこの2ヶ月で経験したことをそのまま書いている。Vol.1を書き終えた時点でVol.2のテーマが生まれ、Vol.2を書き終えた時点でVol.3のテーマが明確になった。テーマが先にあったわけではなく、Claude Codeを使う中で自然に生まれてきた。
転換点:「自分で書く」から「指示する側になる」まで
最初の2週間は、Claude Codeに「この内容で記事を書いて」と直接頼んでいた。指示を出してAIが書き、私が直す。そのサイクルを繰り返していた。
転換点は、CLAUDE.mdにエージェントの役割を書いた時だった。
ここでは私が使っているwriter/reviewer/readerという名前を例に書くが、これは著者の編集部的な用途に合わせた名前であり、コードレビュアー役エージェントやテスト実行エージェントなど、自分の用途に合わせて自由に置き換えられる。
## エージェント組織 COO ─── オーケストレーション ├── researcher ── 調査・分析 ├── writer ───── 記事執筆・Zenn/Qiita/はてな投稿 ├── reviewer ─── コードレビュー・記事レビュー(品質ゲート) └── reader ───── 想定読者ペルソナで原稿を評価
エージェントに役割を明示してClaude Codeを呼ぶだけで、動き方が変わった。writerは執筆に専念し、reviewerは事実確認を行い、readerは読者視点で感情レビューをする。私の役割は「何を書くか」を決めることと、各エージェントの出力を最終判断することに絞られた。
「自分で書く」から「指示する側になる」への転換は、ツールの使い方が変わったというより、Claude Codeとの関係性が変わったと表現するほうが正確だ。
組織として動く感覚
現在の執筆フローはこうなっている。
- ネタ帳(researcher): Webリサーチとデイリーレポートで記事ネタを収集。毎朝自動実行されるリサーチエージェントが、興味領域のトレンドをスキャンしてネタ帳に積んでいく
- 執筆(writer): ネタ帳と指示を受け取り、原稿を書く。一人称は「私」で固定、構成ルールはPlaybookに記載されている
- ファクトチェック(reviewer): 数値・固有名詞・URLの裏取りを行う。事実と意見を書き分けているか、引用の精度は正確かを確認する
- 感情レビュー(reader): 想定読者ペルソナとして原稿を読み、「ここで離脱しそう」「この数字の根拠が不安」といったフィードバックを返す
- 公開(COO): はてなブログ、Zenn、QiitaへのクロスポストをCLIスクリプトで実行
この分業は、私がゼロから設計したわけではない。「よくある指摘のパターン」を繰り返しPlaybookに書き足していくうちに、自然とこの形になった。
品質ゲートは3軸で見ている。「事実正確性(ファクトチェック)」「読者体験(感情レビュー)」「構造・再現性(ライティングガイドライン準拠)」の3点を確認し、一定基準を満たした記事だけを公開する。ゲートを通すこと自体が目的ではない。「なぜここがひっかかったか」の指摘パターンを蓄積することで、ライティングガイドラインが育っていく。
ネタ帳は現在158本ある(2026-06-02実測)。記事ファイルは132本(アーカイブ7本含む。うちはてな公開済み100本、Zenn投稿済み41本)。レート制限のため全記事をZennに投稿できているわけではないが、この規模の管理を私一人でやるのは難しい。エージェントが役割分担して管理しているから維持できている。
予期しなかったこと:事故がシステムを鍛えた
順調だったわけではない。最大の事故はblogsyncに関するものだった。
はてなブログへの記事公開にはblogsyncというツールを使っていた。5月に入り、ブログ記事のカスタムURLが意図せず書き換わる事故が複数回発生した。初回は4本の記事URLが変わり、既存のSNSシェアリンクや検索エンジンのインデックスが無効になった。同じ事故が形を変えて4回繰り返した。
4回目の事故の後、根本解決策を選んだ。blogsyncへの依存を完全に断ち切り、はてなブログのAtomPub APIを直接呼ぶCLIを自分たちで実装した。5月30日にblogsync完全撤去が完了し、それ以降URL書き換え事故はゼロになった。
この経験から学んだことは、「事故はシステムの改善トリガーになる」ということだ。毎回の事故はlogs/governance-incidents/にインシデントファイルとして記録される。再発防止策はCLAUDE.mdのルールに追記される。事故を繰り返すたびに、ガバナンスの仕組みが具体的になっていった。
2ヶ月前はCLAUDE.mdに16行しか書いていなかった(プロジェクト開始時のgit履歴で確認)。今は数百行のルール、Playbook、トリガーリストが存在する。これは計画して設計したものではなく、事故と改善を繰り返した結果として積み上がったものだ。
コスト面も正直に書く。Claude MaxプランをAnthropicと契約している。月額$100のプランだ。一般的なClaudeの使い方(個人利用・チャット中心)であれば$20のProプランで十分だが、本記事のような複数エージェントを常時動かす制作規模では、Maxプランが現実的だと判断した。
Claude Codeを使い始めた人への次の一歩
Claude Codeを使い始めた人へ、「次の一歩」として勧めることが一つある。
CLAUDE.mdにエージェントの役割を書く、それだけでいい。
具体的には、プロジェクトルートのCLAUDE.mdに以下のような記述を追加する。
## エージェント組織 このプロジェクトでは以下の役割を持つエージェントを使い分ける。 - **reviewer**: 事実確認・数値の裏取り・出典チェックを担当する - **reader**: 想定読者の立場で原稿を読み、離脱ポイントや疑問を報告する - **writer**: 構成案とガイドラインに従って原稿を書く
これを書いた後でClaude Codeに「reviewerとして以下の原稿をチェックして」と指示すると、役割の文脈を持った回答が返ってくる。最初は3行でいい。「自分が何をやらせたいか」が明確になるにつれ、自然に詳細になっていく。
「複雑すぎる」と感じるかもしれない。私もそう感じた。ただ、最初は3行でいい。今の形になるまで2ヶ月かかった。一気に設計するより、使いながら育てるほうが現実的だし、使い方に合ったルールができあがる。
役割分担を明示すると、Claude Codeへの指示の出し方も変わる。「何でもやって」より「reviewerとして数値の根拠を確認して」のほうが、出力の質が安定する。曖昧な指示を出すより、役割と文脈を先に渡したほうがいい結果になる。
これが私がこの春、Claude Codeを使って発見したことだ。
この春を経て
2ヶ月前の私は「AIに書いてもらう」ことを始めた。2ヶ月後の私は「AIチームに指示を出す」ことが日常になっていた。始めることと続けることは別の技術で、続けることと仕組みにすることもまた別だと、この春に初めて実感した。CLAUDE.mdの数行が起点になり、事故が仕組みを鍛え、仕組みが書き続ける土台になった。「この春始めたこと」というテーマへの私の答えは、ツールを使い始めたことではなく、仕組みを育て始めたことだ。
この春書いた Zenn Book 3冊
- Vol.1「コードを書けない私がClaude Codeで「AIチーム」を作るまで」(序章・第1部は無料公開)
- Vol.2「コードを書けない私がClaude Codeで「AIチーム」を回すまで」(序章は無料公開)
- Vol.3「コードを書けない私がClaude Codeで「AIチーム」と書き続けるまで」(序章は無料公開)
関連記事
- CLAUDE.mdにエージェントの役割を書いた話 — 転換点になった一行の背景
- 毎朝自動実行されるリサーチエージェントを作った — デイリーリサーチ自動化の仕組み
- ガバナンスの仕組みをどう育てたか — 事故とルール進化のサイクル
- 品質ゲート3軸の設計 — reviewer/reader/SEOの運用詳細
- Playbook・トリガーリストとは何か — CLAUDE.md憲法の構造
- Claude Code ブログ執筆ハーネスをテンプレート化した話 — 執筆基盤を別ブログにも転用した実例
この記事のテーマを深掘りした本
コードを書けない私がClaude Codeで「AIチーム」を作るまで コードを書かないSEが9体のAIエージェント編集部を作るまでの実録(序章・第1部無料)
シリーズ全6冊: Vol.1 作るまで / Vol.2 回すまで / Vol.3 書き続けるまで / Vol.4 仕組みを渡すまで / Vol.5 仕事を任せるまで / Vol.6 1人エージェントチーム